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❸当院で行う転向硬膜外麻酔分娩とは

❸当院で行う転向硬膜外麻酔分娩とは

① 無痛分娩を行うかどうかの判断は陣痛が来た後に行います。
 ※誘発硬膜外麻酔分娩は一切行いません。
 ※「陣痛」来たかどうかの判断は医師が行います。

 原則自然分娩(無麻酔分娩)を目指しますが、それができない状況(お母さんのご希望および医師の判断に基づく)になった場合に無痛分娩を開始します。
 
 産痛の痛みの軽減(無痛分娩)は大きく2段階で行います。
 (1)子宮が収縮して痛みが起こる時(陣痛)
 (2)産道への圧迫感・子宮口が開く痛みが加わった時

① 無痛分娩を行うかどうかの判断は陣痛が来た後に行います。

通常陣痛は子宮の出口が開いてからだんだん痛くなってきます。ただし図1のように痛みの感じ方は個人差があり、子宮の出口がそれほど開いていなくても痛みを感じるお母さんもいれば、だいぶ開いてから痛みを感じるお母さんもいます。

硬膜外麻酔分娩を1980年代初頭から長年にわたり3,000件以上行っていらっしゃった磯部先生(2002)※1)は、お母さんの陣痛の痛みに対しての感じ方について書かれています。
初産時の陣痛を
   「耐えられる痛み」として
    *軽い普通の生理痛の程度、
     又はお腹や腰の規則的な痛み
    *痛い骨盤の中を押し広げたような痛み

   「耐えらない痛みとして
    *ひどく痛い生理痛の何倍もの痛み
    *怖いけいれんに近いお腹や腰の痛み、
    又は骨盤の中から引き裂かれているような痛み

と分けた場合に、出産前と出産後で痛みに対する評価はどのように変化したか?が図2です。

出産前に「耐えられる痛み」とした人や「耐えられない痛み」とした人がそれぞれ出産後どのように変化したか?が図3です。
出産前に陣痛を「耐えられる痛み」と考えていたお母さんも「耐えられない痛み」と悩んでいた
お母さんも、出産後には4つの痛みのタイプの割合が
   * 軽い…15%
   * 痛い…12%
   * ひどく痛い…20%
   * 怖い‥53%
とほぼ同じでした。

ここから陣痛の痛みは、お母さんの出産前の思いに関係なく決まっており、関わり方は下記のようになると考えられます。
つまり無痛分娩の必要性は、陣痛が来てからでないと分からないと私は捉えます。

②原則自然分娩(無麻酔分娩)を目指しますが、それができない状況になった場合に 無痛分娩を開始します

比較的痛みに強いお母さんは、図4のように痛みの閾値を超えずに子宮の出口が開きお産になります。そのような場合は無痛分娩が必要なく出産になるわけですが、逆に無痛分娩を無理に行おうとすると麻酔をしている最中にお産になったり又は痛みが十分取れずに除痛という意味では不満足な無痛分娩になってしまいます。無痛分娩はその必要性があるか判断した上で行うことが重要です。

③産痛の痛みの軽減(無痛分娩)は、大きく2段階で行います

子宮が収縮する痛み…子宮の出口が全部開く(10㎝)前
・子宮の出口が十分に開いていない=お産まで時間かかる。  ➡(A)へ
・お産まで近いが緊張しすぎて冷静さを保つことができない。➡(B)へ
 
(A)鎮痛薬使用
*一度強くなった収縮する子宮の痛みを取る
  (図5(最初のの下降線)参照)

*耐えられなくなった 痛みを軽減しお産を仕切り直す

*この鎮痛薬で乗り切れない時、次の対応(2)へ

おしもや膣が開くときの痛み…子宮口が全開大になり赤ちゃんの頭が出口に降りてきたとき子宮の出口が開いて赤ちゃんの頭が下がったことを確認

(B)麻酔薬使用
*痛くなったおしもや膣を押し広げる痛みを取る
  (図5(のBの下降線)参照)

*お産のが近いとき冷静さ保てないお母さんは
「子宮収縮の痛み」「おしも、膣を押し広げる痛み」
両方の痛みを軽減し(図6(緑のBの下降線)参照)、冷静さを取り戻す。

*痛みを取るだけでなく、緊張して足やお尻に力が入って赤ちゃんの出口が狭くなるのを薬の作用で筋肉を緩め出口を開くようにする
**文献
1)磯部孟生:産痛に対する感受性と硬膜外麻酔分娩
分娩と麻酔,Vol.82:p24-32,2002
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