➋完全無痛分娩をすることの問題点
完全無痛分娩をするためには誘発分娩が必要です
全く痛くない無痛分娩を行うためには、陣痛が来る前に子宮収縮剤を使ってお産を行う誘発分娩をお産の日取りを決めて行う必要があります。陣痛が来る前ですので、子宮口が堅ければそれを広げる処置(ラミナリアという海草の茎やメトロという風船)を行い、そのあと子宮収縮剤でお産を進めます。
無痛分娩をするために誘発分娩をしてもいいのか?
「❶無痛分娩の前にまず陣痛のこと 」 でお話ししたように陣痛が無い状況にはその理由があるわけで、子宮の出口が硬い方はもちろん子宮の出口の条件が整っている方でも、そのお産を進めることは何らかの危険性が存在することが考えられます。実際この方法でも10人中8~9人のお母さんは問題なくお産されると思います。しかし残りのお母さんは、お産を進めるために赤ちゃんが臍の緒が巻かれ苦しくなったり、赤ちゃんの向きが悪い状態が続いて出産できないこともあり、お産がなかなか進まないときに子宮収縮剤の量が増やされることで子宮の筋肉の休憩が取れないため、子宮の筋肉が疲労して最終的には帝王切開になることもあります。
誘発分娩の本来の目的
子宮収縮剤はその使用によっては子宮破裂や赤ちゃんが苦しくなるなどお母さんのみならず医師にとっても大変気を遣うお薬です。しかし、陣痛が無い方に止むを得ず子宮収縮剤を使用する誘発分娩をしなければならないのは、妊娠継続がお母さんに危険な場合(妊娠高血圧症候群など)や赤ちゃんが苦しい場合(赤ちゃんの発育が悪い、破水後にバイ菌感染しやすい等)何らかの理由があるからです。そうした中で無痛分娩を行うために誘発分娩することに対して私は抵抗を感じることを否定できません。